中国(上海)の労働法・社会保険・税務
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中国(上海)の社会保険料
国によって社会保険の制度は様々です。中国(上海)現地の社会保険(養老保険、医療保険、労災保険等)の特徴や留意点、社会保険料についてご説明いたします。
中国において「社会保険法」が2011年7月1日に施行され、2011年には中国国内で就業する外国人も社会保険の加入対象となりました。 上海においては、外国人の社会保険加入は任意になっていますが、実施細則により強制に変更されると考えられます。
下表が4金と呼ばれる主要な中国の社会保険の概要となります。
保険名 | 特徴 |
---|---|
養老保険 (年金) | ① 累計15年間納付した場合(日本で暮らす場合でも)、一定金額の養老金を毎月受領可能。 ② 累計15年間納付しなかった場合、帰任する際に個人養老金口座の残高を一括して引き出すことができる。 |
医療保険 | 医療保険適用可能な病院は予め決まっており、自分の掛かりつけの病院が保険適用対象になっていない可能性がある。医療レベル、病院の環境、言語の問題などにより外国人は外国人用のクリニック に通うケースが多いが、そうしたクリニックは対象外。 |
労災保険 | 中国国内で労災事故に遭遇し、かつ中国国内で診療を受けた場合には、一定の補償を受けられる。 |
生育保険 | 保険適用病院で出産する場合、一定の補助がある。 |
失業保険 | 赴任者の立場である以上、失業の可能性は低い。そもそも失業時には派遣元から発行されている就労ビザが無効となるため、中国に長期滞在することが難しくなる。 |
① 省により社会保険率が違う
料率が低い省へ工場設置などが考えられる。② 省により外国人適用の有無が違う
法律上は外国人も中国社会保険の適用だが実際上海では加入は任意とされている。③ 外国人への強制時期が不明確
いつ外国人に強制適用がなされるか、さかのぼって支払いが必要になるのか予測できない。④ コストアップ
日本との社会保障協定が結ばれていないために、二重加入となり掛け金が発生。⑤ 保険給付のメリットはない
現地の病院を利用すること、失業給付、生育給付も受給することは考えがたい。
中国の社会保険料額は実際には、各個人の前年の賃金総額を基数とし、これに保険料率を乗じて決定されますが、基本的には基数は各都市の前年の平均賃金の60%を下限、300%を上限としています。海外赴任者の賃金は多くの場合、平均賃金の300%を超過しますので、多くの場合実際の社会保険料額は下記の通りになります。
医療保険 | 失業保険 | 生育保険 | 労災保険 | 企業負担計 |
個人負担計 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
【上海】 |
企業 | 個人 | 企業 | 個人 | 企業 | 業種別 | - | - |
納付比率 |
9.5% | 2% | 0.5% | 0.5% | 1% | 0.16~1.52% | 27.16~28.52% | 10.5 |
納付基数上限
(24,633元) |
2,340 | 493 | 123 | 123 | 246 | 39~374 | 2,749~3,084 |
615 |
平均賃金 (7,832元) |
744 | 157 | 39 | 39 | 78 | 13~119 | 874~981 | 195 |
納付基数下限
(4,927元) |
468 | 99 | 25 | 25 | 49 | 8~75 | 550~617 |
123 |
(2019時点の料率) 単位:元
現在外国人の社会保険加入が免除されている都市は上海と大連のみとなっていますが、もし加入が必須となった場合、 企業負担と個人負担合計6.876元、日本円にして毎月123,768円(1元 = 18円として計算)年間約150万のコストアップとなることになります。