韓国の労働法・社会保険・税務について
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韓国の社会保険
国によって社会保険の制度は様々です。韓国現地の社会保険(国民年金、国民健康保険、雇用保険、産業災害補償保険(労災保険)の特徴や留意点についてご説明いたします。
韓国では、社会保険制度として国民年金、国民健康保険、雇用保険、産業災害補償保険(労災保険)の4大保険が施行されています。
特長 | |
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国民年金 | ①外国人も当然適用対象となる。(日本人は社会保障協定の適用により派遣期間が5年を超えない場合には加入義務無し) ②累計10年間納付した場合に60歳から受給可能 |
国民健康保険 | ①療養給付、健康診断、療養費、出産費、葬儀代等を支給 ②外国人も適用対象となるが、2007年7月より、外国で本健康保険に準じる医療補償を受ける場合には、適用除外申請が可能 |
雇用保険 | ①雇用安定事業、職業能力開発事業のほか、失業給付、育児休業中の給付、産前産後休業期間中の給付を行う ②外国人の場合は任意加入(国籍、ビザ種類などによって異なる) |
労災保険 | ①業務上の疾病に関し療養給付、介護給付、休業給付(平均賃金の70%)等を支給 ②外国人の場合も加入要 |
日本と韓国の間には社会保障協定がありますが、社会保障協定のうち「二重加入の防止」のみが盛り込まれており、「年金期間通算措置」は盛り込まれていませんので留意が必要です。なお、二重加入防止の範囲も、公的年金制度にのみ限られています。一方、下図で示すとおり健康保険制度も、赴任者の方が日本の健康保険制度の資格を継続する場合や、海外旅行傷害保険に加入する場合には免除となる等、実質的には労災のみ加入義務があるということになります。
なお、 健康保険の適用を除外するためには別途申請書※を現地法人を通して韓国当局に提出する必要があります。
※職場加入者資格喪失申告書に、この健康保険加入除外申込書と国内の健康保険資格証明書や、海外旅行傷害保険の保険契約書等を添付して申請
また、4大保険に加えて、2010年には従業員を1人以上使用している事業場は企業年金の整備が義務となりました。これらの特徴をまとめると下記のとおりです。
(韓国における社会保険の種類と適用対象等の概要)
2015年版 | 国民年金 | 国民健康保険 | 介護保険 | 雇用保険 | 労災保険 | |
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目的 | 国民の老齢等に関する年金支援 | 疾病、負傷に対する予防、診断、治療 | 介護に関する支援 | 失業予防、雇用促進及び勤労者の職業能力開発 | 業務上保障、疾病、身体障害又は死亡等の救済 | |
適用対象 | 勤労者を使用するすべての事業場 (国民年金、国民健康保険、介護保険は常時勤労者1人以上である事業場) |
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保険料 | 勤労者 | 4.5% | 3.035% | 国民健康保険料×6.55% | 0.65% | なし |
使用者 | 4.5% | 3.035% | 国民健康保険料×6.55% | 0.9%~1.5% | 業種別労災保険料率 | |
海外赴任者の加入義務 | 社会保障協定により、日本人の加入義務なし | 日本で健康保険に加入している場合や、海外旅行傷害保険に 加入している場合には加入が免除 | D-7(駐在)、D-8(企業投資)、D-9(貿易)のビザを有する場合雇用保険制度の加入対象外 | 加入義務有 |
2015年版 | 企業年金 | |
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目的 | 勤労者の老齢等に関する年金支援 継続勤労年数1年に対し30日分以上の平均賃金を退職金として支払う制度を設けなくてはならない。 |
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適用対象 | 従業員1人以上の事業場の場合、退職金を支給しなければならない(2010.12.1施行) | |
保険料 | 勤労者 | 使用者負担分以外 |
目的 | 使用者 | 使用者負担分の掛金 |
海外赴任者の加入義務 | ①退職金制度 ②確定給付型退職年金制度 ③確定拠出型退職年金制度から選択 |